2007年03月10日
2007年3月9日 さようなら、ババちゃん

 東京に着いたのは9日になってから数時間経った深夜。一旦実家に寄り、仮眠を取ります。そして迎えた朝、母と妻と子供たちとともに祖母のいる病院へ。
 この病院はつい先日まで母が緊急入院していたところ。何度もお見舞いを重ねていたので見慣れているはずの院内でしたが、「救急」ではなく「一般」だったため、また違った雰囲気を漂わせていました。
 「チン!」エレベーターが5階に到着。これから直面する残酷な現実から少しでも気を紛らわそうと、何も知らずにはしゃぐ子供たちを注意しながら祖母のいる病室へ向かってゆっくりと歩を進めます。そしていよいよ最後の面会・・・。
 口と鼻を覆う酸素吸入器。点滴の針によって内出血が止まらないのかドス黒い色と化した腕。瞬きもせず見開いたままギョロつかせるガラス玉のような目。苦しいのか、はたまた意識があるのかないのかも全く分からない様子で、ただただ「ウー、ウー」とうめきに近いうなり声を弱々しく上げている状態でした。
 あの美しかった祖母の変わり果てた姿を見た瞬間、涙がブアッと零れ落ちました。そして、祖母の肩にそっと手を置きながら耳元に近づき、「ありがとう、ババちゃん」。すると、それが通じたのか、目はよそを向きながらも、私を探すようにして左手を宙に上げたのです。私はその手をしっかりと握りしめ再び、「本当にありがとう、ありがとう・・」と嗚咽を漏らしながら声を絞り出しました。
 どれくらい時間が経ったのでしょうか。母からそろそろの退室をうながされ、祖母に最後の別れを告げました。
 病院を出たその足で祖母の家へと向かいました。ここは私が小さい頃から出入りしていた場所。家に入り、いつも祖母が座っていた椅子を眺めると、思い出が走馬灯のように脳裏を駆け巡り、また涙が・・。そしてひと時の感傷に耽った後、上越に戻りました。
 あとほんのわずかな寿命。願わくば、できるかぎり苦しまず安らかに眠って下さい。ババちゃん、今まで本当にありがとう。そして、さようなら。

Comments are closed.